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No.06担税力(たんぜいりょく)

2017.09.26

担税力(たんぜいりょく)

1.担税力との出会い
「担税力」という言葉を初めて目にしたのは、税理士試験のために専門学校に通い始めた頃、法人税のテキストの最初のページに載っていた税金に関する文章の中でした。
 そこには、<「担税力」とは税を負担する能力>と記載されていました。お金のある人や法人が払うのは当然で、無いものは払えないのでは・・・と思い、特に疑問も抱かずスルーしていましたが、最近、消費税の参考書を読んで色々と考えさせられました。

 その本には、
・税負担が「担税力」に即して配分されることによって、租税は所得の再分配機能を持つことになる
・「担税力」の具体的な基準としては、所得・消費・資産が上げられ、税制全体としての公平性を確保するためには、これらを適度に組み合わることが望ましい
とありました。

2.具体的には・・・
 例えば、所得税は所得が多くなるにつれて税率が高くなる超過累進税率を適用しています。一見、所得が多くなれば税負担も累進的に多くなることは、「担税力」の観点からも正しいように思え、だったら所得だけで税負担を賄えば良いようにも思われます。
 そこで、1年間で2億を稼ぎ、その後39年間稼ぎが無い場合と、40年間毎年500万を稼いだ場合とでは、どちらも40年間で同じ2億を稼いだことになりますが・・・この両者で、生涯の税負担額はどうなるでしょうか?
 答えは、所得税の計算は暦年で行われるため、1年で2億を稼いだ方が何倍も高くなります。
 つまり、所得税だけでは、「担税力」としての課税の公平は保つことが出来ないのです。そのため、稼ぎ(所得)だけではなく、消費を担税力の指標として、その消費の大きさに比例して負担を求める消費税が設けられているのです。
 理想論として、あらゆる消費に均一に課税することによって、所得税の特徴である垂直的公平の要請(高さ)に応えるだけでなく、消費税の特徴である水平的公平の要請(広さ)にも応えることで、税制全体のバランスを確保することが出来るということです。

3.最後に
 ただし、現実的に、所得税の累進税率や消費税の均一税率をいくらにすればみんなが納得するのかは、とても難しい問題です。
 貧富の格差や世代間格差、その他あらゆる状態によって「担税力」は変わってきます。
 みなさんも「担税力」とはどのようなものか、興味を持たれましたか?ぜひ一度勉強されることをお勧めします!